イラストのメイキングを見ていると「ここでは乗算を使います」「今度はハードライトです」「それからスクリーン」みたいにやたらレイヤーのモードを使っているのがあったりします。
メイキングの中でその意図までは詳しく解説されていないことも多いですよね。
今回はレイヤーの合成モードをわかりやすく解説します。
なんていったって覚えるのはたった3種類です。見ていきましょう。
レイヤーの基本
レイヤーは重なりです。
基本的に上にあるレイヤーの絵が見えて、奥のレイヤーの絵は見えなくなります。
そこで、通常のレイヤーの不透明度下げるか、レイヤーの合成モードを使えば、下にあるレイヤーの絵を潰してしまわないで重ねることができます。
参考の画像も用意しているので、実際に見ながら理解していってくださいね。
レイヤーモードの呼称
クリスタでは合成モード、
Photoshopではブレンドモード、
となっていますが、機能としてはほぼ同じです。
また、他のペイントソフトでもほとんど同じモードがあります。
1.暗くする系
合成モードのレイヤーは、下に色のついたレイヤーがないと描画が見えなかったりするので、試し書きするときには注意してください。
乗算
下のレイヤーの色と選択している色に応じて、通常のレイヤーで色を重ねるよりも暗くなります。
極端に暗い色を選んでいると黒に沈んでしまいますが、明るめの色を使ったり、乗算レイヤーの不透明度を下げるなどすれば、調整が効きます。
レイヤーのモードの中では色が思ったようになりやすいので、比較的に使いやすいモードです。
上の画像ではグレースケールで明暗を描いたあとにグラデーションマップと乗算レイヤーを使って色をつけています。
焼き込みカラー
焼き込みは「リニア」の方もありますが、どちらも黒くなりやすいです。
感覚としては乗算の方が使いやすい。
コントラストを強くしたいポイントでは焼き込みカラーを使ってみてもいいかも。
2.明るくする系
白いキャンバスに描いても見えないことがあるので注意してください。
暗い下地があるとより確かめやすいです。
スクリーン
イメージ的には「ぼんやり白く」なります。
コントラストも弱くするので、少し青っぽい色を選んで空気遠近法の表現に使ったりできます。
上の画像では奥の時計台にスクリーンのレイヤーを重ねています。
存在感が薄くなって、なじんでいますね。
覆い焼き(発光)
覆い焼きはスクリーンよりもかなり明るくなります。
わかりやすく光の表現に向いています。杖の先とか光らせましょう。
加算
覆い焼き(発光)とかなり似ています。
カーソルキーでカチカチ切り替えてみて、状況に合う方を採用しましょう。
3.明度に応じて系
明るい色を塗るとより明るく、暗い色を塗るとより暗くなります。
陰影を描いた後に色味を足したりするときに使われることが多いです。
オーバーレイ
オーバーレイは色が特につけやすいです。
他のレイヤーモードよりも白く飛びにくいので、まぶしくなりにくく、イメージとしては色のついたセロファンのようなものを重ねているような感覚です。
魅せたい部分の色を強くするときや、グリザイユの色味を足すときなんかに使われますね。
明度に応じて効果が変わるオーバーレイですが、あえて明度は中間のあたりで彩度を強くすると、色だけを強くできます。ちょっとしたテクニックですね。
上の画像ではオレンジ色のレイヤーをオーバーレイにして重ねています。
雰囲気ががらっと変わりますね。
ソフトライト
ソフトライトはより明るく、より暗くをかなりソフトに優しくやってくれるモードです。
なにかテクスチャを重ねるときに使われるイメージが強いです。
情報量はほしいけれど、あまり目立たせたくはないときに使えます。
ハードライト
名前の通りソフトよりもハードです。
明るい色を使うとオーバーレイよりも光ります。より光源の表現に向いています。
覆い焼きや加算との使い分けとしては、選ぶ色の明度によって調整が効きやすいので、白く飛んでしまう場面ではハードライトを採用するといいでしょう。
補足.ブラシのブレンドモード
クリスタやPhotoshopでは、ブラシ側でも合成モードを設定することができます。
ブラシ側で設定するとストロークごとに効果が適用されているので、レイヤーのモードで一律な処理をするよりも、効果の重なりをより複雑にすることができます。
まとめ
まとめると、レイヤーのモードは明るくする系と、暗くする系、明度に応じて系の3つですね。
レイヤーのモード自体は他にもありますが、基本的によく使われるものはこの記事内で網羅しています。さらに、追究したい人は他のモードも試してみてください。おもしろいですよ。
レイヤーのモードは「通常」が一番基本になります。
色もパレットで選んだ色がそのまま出ますからね。
通常レイヤーで基本的には描き進めて、必要に応じてレイヤーのモードを使い分けるというやり方が無難かと思います。
使いこなせれば便利であることは間違いないので、かしこく使っていきましょう!