簡単な厚塗りの原理「5ステップ」

簡単な厚塗りの原理EC

厚塗りの定義?

アナログの場合は油絵や水彩、アクリル、色鉛筆など使われる画材によって、絵の質感も変わってきますよね。
しかしデジタルイラストの場合は、紙の上に絵の具の厚みがあるわけではなく、色のついたドットの情報の集まりです。○○風の描き方はできますが、あくまで風なので、そこまで明確な分類をする必要もないのかもしれません。

では厚塗りとは?
明暗の階調が細かくブラシタッチが見える絵が、いわゆる厚塗りっぽい絵の特徴だと思います。

厚塗りの一般的な手順

描きながら工程ごとに解説していきます。
今回は枕を描きます。布はしわや微妙なトーンの変化が細かいのでむずかしいですが、その分練習にも向いています。

1.ベースをつくる

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一応、線でラフを描きます。工程が進むと線は消してしまいますが、ガイドとして機能するので、慣れてない人ほどこの線のラフは描いておいた方が迷子になりにくいです。

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シルエットを暗めの色で塗りつぶします。
「暗い色」はそのまま影に使えそうな色だとあとあと話が早いのですが、別にあとから色は変えられるので適当な色でも大丈夫です。

ベースをつくる際のブラシは、ベタ塗りブラシ(不透明度100のブラシ)推奨。
背景に小物を書き足したりするときは、なじませるために不透明度が若干低いブラシを使うこともありますが、基本ベースはベタでつくっておくのが間違いないです。

ブラシについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
本当によく使う汎用ブラシを紹介【基本のブラシは5つだけ】

2.モノの色をのせる

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「固有色」といわれたりもしますが、モノそのものの色をのせます。
レイヤーは1で描いたものと分けておくのが推奨です。クリッピングの機能を使うと描きやすいです。
影になる部分は塗りつぶさないで残しておきます。この時点ではざっくりでも大丈夫です。

ここからの使用ブラシはだいたい不透明度がちょっとだけ低いブラシ一本です。
基本的な描画ではあと使ったとしてもエッジの柔らかいエアブラシぐらいです。

実はモノの色は光源や環境によって変わってしまうものなのですが、あとで調整も効くのでここでは深く考えなくても大丈夫です。

レイヤーの基本やクリッピング機能がわからないなら、アニメ塗りからはじめるのがおすすめ

3.明るい色とハイライトを乗せる

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光が当たっている面をさきほどより明るい色でぬります。
(今回の例では、実際には明るい部分の中に少し暗い部分をつくっています。ようは、明暗の階調をすこしずつ分けていく作業をします。臨機応変に)

線画のレイヤーは大まかな明暗が見えてきたあたりで消します。それまでは線画を一番上に置いて下に色のレイヤーという構成の方が描き進めやすいです。

イラストではよく用いられますが、光が当たっている部分の中で特に反射が強いところは色が白く飛びます。これがいわゆるハイライトですね。

布は反射があまり強くないので、極端に白い部分をつくりません。
金属質なモノは光を強く反射するので、ハイライトの部分もしっかり描きます。
そんなふうにモノの質感は光の反射の仕方によって表現できます。

4.細部を加筆して整える

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「細部」は描いている絵によって変わります。
今回は粗が目についた右側のしわの部分と、影っぽい左側の色味を青くしたりしています。

厚塗りは基本的な明暗を塗り分けたあとは、「より細かく描いて、引いて見て、また描く」の繰り返しです。言葉の説明としてはどうしてもざっくりしてしまう工程ですが、とにかく描いては引いて全体のバランスを確かめることが大切です。

細かい明暗をつくるときは、「Alt+クリック」のスポイト機能を使います。
たとえば、影の色を拾って、明るいところに軽く置くと不透明度によって混ざった色ができます。その色をまたスポイトすることで中間の色ができるので、明るい中のすこし暗い部分をえがくことができます。

厚塗りに限らず、カラーサークルで色をつくるよりもスポイトで色を拾った方が早いので、新しい色を塗るとき以外は「Alt+クリック」のスポイトを使うのが楽です。

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5.仕上げ

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厚塗りの完成の見極めは難しいところでもありますが、仕上げについても言及しておきます。
一般的に仕上げの工程では、色の最終調整や、フィルター、テクスチャーが足されることが多いです。

今回の絵ではテクスチャを足して、コントラストもすこし上げています。
厚塗りの描き進め方はこのような感じです。

厚塗りのメリット・デメリット

メリットとしてはやはり、「モノの質感をリアルに表現できる」ですね。
反対にデメリットは、「それだけ手を動かす必要はある」です。

厚塗りの絵は質感や情報量が見ごたえありますね。
しかし、対照的なアニメ塗りと比較すると、手数は必要になります。
同じパーツはコピペを利用したり、特定の質感はブラシを作成して利用するという手もあったりはします。
あと、「質感を表現できる」の裏返しですが、やりすぎると絵全体が過密で重くなってしまうので、その点は注意が必要です。

厚塗りQ&A

Q.線画は描かない?

A.場合によります。
厚塗りだと「線画を描かない」というイメージが強いです。
が、ラフでガイドのような線をはじめに描いたり、わりと描き進めてからキャラの線画を足したり、濃い色を疑似的な線画のように残したまま塗り進めたりと、厚塗りと一口にいっても線画を利用する方法はさまざまあります。
完成の絵のイメージに合わせてやり方を選ぶのが現実的でしょう。

Q.レイヤー分けない?

A.自分が描きやすいように適宜分けましょう。
作業中のレイヤーの枚数が何枚であろうと、完成して書き出される画像は一枚です。
レイヤーを何枚使ったかは、その絵を見る人は知りません。
自分が描きやすいように描くといいでしょう。

厚塗りでも保険が利くやり方としては、ベースのレイヤーの上に新規でレイヤーを重ねながら、それぞれクリッピングしていく方法があります。失敗しにくいですし、てきぎレイヤーを結合して整理することもできます。

《関連記事》レイヤーの枚数について

Q.早く描ける?

A.人や場合によります。
まず人によって向き不向きがあります。かくいう私は色をいきなり置いていく描き方は苦手です。シルエットも線で描きはじめる方が考えやすいです。

あと、絵のかかる時間は内容によって変わるのはもちろんですが、最善というか効率的に描くことを考えるならば、悩む時間を減らすことが一番重要です。ラフの段階でしっかりイメージを固める方が、結果的に早いです。

Q.厚塗りって結局なに?

A.冒頭でも述べたとおり、デジタルイラストの「厚塗り」はあくまでそれっぽい絵柄があるというだけなので、厚塗りは概念です。

まとめ

「厚塗り」で完成したイラストを分類することにはあまり意味はないと思います。
ですが、実際に描き進めるときに「厚塗り」の描き方を知っていると、質感を表せたり表現できる幅が広がります。

まったくやってみたことがない人もぜひこの記事を読んでトライしてみてください。
ではでは。

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