1.レイアウトと構図は違う
レイアウトは配置
レイアウトは形の配置です。
枠の中にキャラやモノをどう置いていくか、という考え方です。
「三分割法」など、カメラの構図を調べてみるのも勉強になります。
構図は総合的な画面作り
構図はレイアウトの配置+カメラアングルとライティングまで含みます。
より実在的で、奥行きが存在します。
実際に考える順番
なぜレイアウトと構図、似たようなものを分けて考えるのか。
それは単純にいきなり総合的な構図を考えると大変だからです。
配置、カメラアングル、ライティングを決めるためには、背景や環境までしっかり設定していかないといけないので、はじめから一気にやろうとすると混乱してしまいます。
そこで、まずはレイアウトでフレームに対してどのくらいで、キャラやモノを配置するかだけを考えます。
それから、カメラの整合性や演出的により効果的なライティングを検討していきます。
この方法なら、はじめにレイアウトでメインで描くものが決まっていると、カメラやライティングで試行錯誤できます。大抵、いくつかパターンを考えて良さそうなものに決めます。
2.構図の持つ感情
構図によって見る人の感情は左右されます。
実は細かくなにが描かれているかより、全体として見たときのぱっと浮かぶ印象の方が強いのです。
開放的か閉塞的か
開放的な構図は抜けがあります。
めちゃくちゃ簡単にいってしまえば、画面の上部は空でなににも覆われていないと開放感があります。
逆に上からなにかに覆われている構図は閉塞感があります。
空が見えている絵でも、たとえば重たい雲で青空が見えないと、どんよりとした気持ちになりますね。
広角は感情的
広角レンズで写真を撮ると、近くのものがより大きく、対照的に遠くのものは小さく映ります。
絵の中で広角レンズの効果を演出として取り入れるなら、近いものを大きく描いて、なんならすこし歪ませるという方法になるでしょう。
歪ませることによって、良くも悪くも違和感は生じるので、絵として成立させるのは難しい面もあります。
望遠は客観的
望遠は広角に比べて、モノの大小の差が極端には映りません。
大きさの差がそのまま映し出されるようなイメージです。
実物の望遠レンズは極端に奥行きが詰まった写真を撮ることもありますが、
絵で望遠を用いる際にはわりと普通な画面がほとんどです。
極端な画面を作らない場合は望遠、もしくは望遠気味だという認識でもいいと思います。
アオリは威圧的
アオリは下から見上げているという図になるので、対象の大きさをより強調します。
安直な例ですが、巨大な建造物、大柄な強敵を表現する際に有効ですね。
また、実際にサイズの関係としては大きくなくても、そのときの立場を表す際にも用います。
たとえば、失敗をして怒られるというシーンで、怒っている人をアオリ気味でえがくと、上からいわれる感じがより出ます。
フカンは説明的
フカンは上から見下ろしている絵になり、状況を説明しやすいです。
特に人と人の立ち位置の関係は見せやすいですね。
それから、広大な広さを表すときにも必然的にカメラは上空から撮ることになりますね。
カメラが傾けば不安定
カメラは水平に撮るのが基本ですよね。
しかし、わざと傾けると不安定な印象になります。
これも演出として効果的です。
3.構図のパターン分類
3-1.キャラのサイズと数による分類
まずはキャラクターのサイズと数によって分類します。
バストアップ
画面いっぱいがほとんどキャラで埋まります。
絵の意味としては、なんのキャラが描いてあるかがほぼすべてといっていいでしょう。
背景の面積もほとんどないので、大抵一色で塗りつぶすか、描いたとしてもごく簡単なものになるでしょう。
だいたい全身の構図
キャラクターの全体がより見える絵です。
A4サイズの比率だと、キャラが立っている場合、膝ぐらいで切れてしまうこともあります。
このバランスもあくまでキャラクターがメインですが、背景の面積もそれなりにとれるので、状況やシチュエーションを説明することができます。
複数のキャラクターが入る構図
二人のキャラクターの構図
二人のキャラクターの構図例です。
横に並んでいる絵もいいですが、今回はキャラ同士の関係性がより強くでる向かい合わせで描いてみました。
あとは平面的な空間にシンメトリーな構図等も考えられますね。
一人のキャラを描く場合との比較としては、当然キャラが二人になるという点が大きく、キャラクター同士の関係性やシチュエーションがより重要になってきます。
三人のキャラクターの構図
三人の絵は、二人の絵よりもむずかしいですね。
一人と一人が対峙していたとしても、もう一人いるので、その一人にもなにかしら演技をつけないといけません。
横に三人並んだり、奥に三人が広がっているシチュエーションの方が描き手としては考えやすいかもしれません。
今回は便宜上、構図の分類を整理するために「三人の構図」から考えましたが、ストーリーや設定が先にあって、(こういう絵が描きたい)と思って描きはじめる方が自然ですね。
ようは、描きたいキャラや話、状況が先に頭にあることが大切です。
いっぱい
いわゆる集合絵などですね。
キャラクターが複数いる絵は、それぞれのキャラクターを紹介するという意味合いが強くなり、一人のキャラクターが画面を占める割合はキャラクターの数が多くなるほど低くなります。
3-2.引きの背景絵
つぎに、引きの絵についてです。
カメラが引きになると、キャラがいる場合でも画面の中で背景の占める割合が大きくなります。
言い換えれば、キャラクターが大きく入っている絵よりも、当然その場所や世界観の描写の割合が大きくなります。
タテのフォーマット
タテのフォーマット(キャンバス)はタテの展開を見せるのに適しています。
建物や巨大な生き物など高さも表現できます。
個人的な印象ですが、タテのフォーマットの方が(キャラを描く場合は特に)空間が埋まりやすいので、ソリッドな絵を創りやすいです。
真ん中にメインのものがある構図と、左右に建造物や木々などが並んで道が続いている構図が一番基本といっていいでしょう。
左から3番目のような構図は、その派生で道の片側(左側)にカメラを向けて撮っていると考えることもできます。
タテのフォーマットでも山々の風景などで、稜線なんかの横の流れがタテに連なっていくような構図もありますね。
タテのラインで必ずしも構成する必要があるわけではありません。絵は自由です。
内側でさらにフレームを区切る構図です。
画面が狭く見えるというデメリットもありますが、見るところがしぼられて大変わかりやすくなるので、うまく使えばドラマチックな効果を生みます。
トンネル構図は顕著ですね。
画面の一隅に葉や岩が近景としてかかって、遠景との奥行き感を強めるような使われ方も多いですね。
室内の例です。
室内も天井や壁があるので、カメラのアングルによっては上記の構図に似た囲まれた構図にも見えます。
基本的に光源が窓と照明に限られるので、画面の構成には工夫が必要な場面もでてきます。
ヨコのフォーマット
構図の分類や考え方自体はタテのフォーマットと同じです。
ただ、ヨコのフォーマットは広い空間を見せることに適しています。
空間として画面の中に映り込む範囲が広くなるので、その世界がどういう場所なのか、より描写による説明がしやすくなるでしょう。
タテのフォーマットよりも広がった空間がえがけるので牧歌的な絵なんかも描きやすいです。
また、キャラクター同士の掛け合いや、物理的な距離による関係性も、ヨコのフォーマットの方が単純にスペースが広いのでえがきやすいです。
四角のフォーマット
四角のフォーマットについて、もうこの記事でも散々使っていいますが。
タテにもヨコにも長くありません。それには長所・短所あります。
短所としては、タテの展開も、ヨコへの広がりも見せづらいということです。
長所は、そういった構成をせずとも真ん中にメインのものをドンと描けばフレームが埋まってくれるということです。
写真でいえば、人物の顔や、丸い皿が多い料理は四角のフレームで切り取っても見やすいですね。
とりあえず、なにか描こうってときには活用してみるのも手かもしれません。
まとめ
今回はレイアウトや構図についての話でした。
一記事の中に切りよく収めたかったので、内容としてはすこしヘビーなものになってしまいましたね。おつかれさまです。
実際、絵の中の見映えを大きく左右する要素として、構図は最たるものだと思います。
なによりラフの描き始めから、レイアウトや構図はもうほとんど決まっていってしまいます。
すこし知識をつけて意識するだけでも変わっていくものなので、この記事を読んでぜひいろんな絵を落書きしてみてください。
すこし時間がかかるかもしれませんが、今回の記事に関連して色についても、まとめた記事をつくっていく予定です。おたのしみに!