イラストの塗りの種類がいくつかあることはわかるけど、どれがどれなのか詳しくは説明できない…
という方向けに塗りの種類を簡単に分類しました。
それぞれのメイキング記事もあります。また、情報量という概念でまとめて考えることもできるので、解説していきます。
アニメ塗り
線画を描いて、デジタルの場合はバケツ塗りのツールを使うことで、手早く仕上げられる塗り方です。
シンプルなのでベーシックな塗り方として扱われやすいですね。
ただ、シンプルゆえに実は線画や配色のセンスも問われるので、一番簡単というと語弊はある気がします。
工程がわかりやすいので、初めにやってみるなら、おすすめではあります。
アニメ塗りの大きな特徴は影の境界線もはっきりしていることです。
アニメの原画では影の線も指定されていて、影もバケツ塗りで仕上げていきます。
しかし、影が一色では表現が難しい部分もあるので、薄めの影と濃い影の2色で表現されることも多いです。2影といわれることが多いですね。
ブラシ塗り(美少女塗り)
ブラシ塗りはごく簡単にいってしまうと、アニメ塗りを部分的にぼかしたものです。
影の境界や色の変わるところをぼかしてグラデーションにします。そうすることで、より柔らかい表現ができるので、キャラや人体の魅力を引き立てることができます。
定義としてブラシ塗りはややあいまいな部分もあります。
たとえば、塗りが細かくなることでブラシのタッチが入ってくると、後述する厚塗りとも考えられるからです。
実際、最近のイラストはシンプルな塗りに見えても部分的に描き込まれているということが多いので、これはこの塗りと言い切るのは難しくなっています。
ブラシ塗りは美少女塗りやギャルゲ塗りといわれることもあり、ゲームの美少女キャラなどが象徴的です。
ゲームのCGをチームで制作するために、工程を抑えつつもアニメ塗りよりリッチな仕上げにしたい、という事情から生まれた塗り方でもあるというわけです。
厚塗り
厚塗りは、塗り方を分類したときに一番情報量の多い塗り方です。
質感を表現するためにブラシで色を重ねて塗っていきます。
リアルに見えるイラストなどは厚塗りで描かれていることが多いです。
塗りで陰影や質感をえがいていくので、はっきりとした線画はないこともあります。
基本的には手で細かく塗り込んでいくので、時間はかかりがちです。
陰影を細かくえがいていく必要があるので、デッサンやライティングの知識も必要になります。
それらを考慮すると、初心者の方にいきなりはおすすめしにくいです。
が、最終的にリアルな仕上がりになっていくと楽しいし、難しい分上達も感じやすいので、ある程度イラストを描いている人は挑戦してみてほしいです。
グリザイユ画法
グリザイユ画法は、最初のベースをグレースケールで描いて、レイヤー効果で色をつけていく描き方です。
描き方は基本的には厚塗りと同じで、ブラシで重ねて塗っていきます。
グリザイユ画法もちいる利点は、最初の工程で色を気にせずに陰影や質感をガシガシ描いていけることです。
欠点もあり、着彩をレイヤー効果で行うので、直感的に狙った色にしにくいことです。
情報量で理解する
ここまでざっくり3つ、ないし4つの塗り方を紹介してきました。
最初にこんな説明を受けると、混乱してしまうかもしれませんね。
そこで情報量という概念で全部理解してしまいます。
アニメ塗りはベタ塗りなので、平坦で情報量が少ないです。
反対に厚塗りはブラシのタッチが入っていて、情報量が多いです。
そんなふうに、一々これはなにの塗りだろうか、と考えなくとも、情報量が少ないか多いかで判断できます。
実際に最近のイラストは、なにか特定の塗りにこだわっているということは少ないので、部分部分でそれぞれ適切だと思われる塗り方や表現がされていることが多いです。
自身の絵柄について考えるときも、情報量や密度に着目すると、なにかヒントになりえるかもしれません。
まとめ
塗り方の記事自体は単発でそれぞれ書いていましたが、まとめて比較した方がわかりやすくなる部分もあるかなと今回のような記事をつくってみました。
それぞれの塗り方を簡単にでも自分で実践してみて、感覚をつかむのが大事だと思います。
その上で最終的に自分がどういう風に描いていきたいか考えることになるでしょう。
その時には情報量などにも意識を向けてみて、いろいろな絵を見たり、実際の作品で試行錯誤していく。それしかない気がしますね。